本納寺秋の団参
2013年2月12日
伊豆団参レポート
伊豆団参紀行 高橋 明
今年の本納寺団参旅行は、2日間に亘り、宗祖日蓮聖人の四大法難の一つ「伊豆法難」ゆかりの地・佛現寺、蓮慶寺、御岩屋祖師堂、川奈湾の北側に面した狙岩、姥子神社そして風光明媚な城ヶ崎海岸をめぐる旅でした。 初日は朝から生憎の雨、バスは本納寺を出発。平日とあって、東名高速道もなんら渋滞もなく、途中に伊豆らしい浜料理の昼食をとり、最初の目的地、佛現寺に予定より早く到着。
佛現寺は伊東の東南の小高い丘にあり、伊東八郎左右衛門と謫居(たっきょ)中の日蓮聖人との関わりが深い霊跡として名高い寺院です。降りしきる雨の中を本堂に入り参詣後、住職から当寺の縁起と門外不出の「天狗の詫び状」なる巻物にまつわる説明を聞きながら拝見しました。この詫び状は、判読不能な文字で書かれてあり、万治元年の頃、天城山中の柏峠に出没して旅人を悩ませていた天狗が降参して逃げて行った時に置いていった巻物といわれています。また宗祖御真筆の御曼荼羅も拝することができて感激でした。「厄除け逆さ曼荼羅」として有名でたくさんの方が参詣されるそうです。
佛現寺を後にして、川奈の蓮慶寺に向かう。この寺は「立正安国論」が北条氏の怒りにふれて伊豆に流され、川奈の海岸にある俎(まないた)岩に置き去りにされたとき、伊東の漁師、船守弥三郎氏に救けられ、岩屋に匿ってもらい三十日余り弥三郎夫妻から献身的な御給仕をうけたところです。後に弥三郎の屋敷跡に建てられたのが蓮慶寺で、この寺から200メートル下ると「御岩屋祖師堂」があります。
翌二日目は晴天に恵まれ、九時に宿を出発。最初の目的地・城ヶ崎海岸へ向かう。この海岸は海岸線に絶壁が連なり、幾重にも、ふところ深く入り組んだ岩礁、岬から岬へと続く眺望はまさに壮観です。伊豆海洋公園の丘陵を三キロメートルほど歩くと、城ヶ崎の名所、門脇の吊橋や灯台があり、灯台からは、晴れた日には遠く伊豆七島や天城連山を望むことができます。
昼食後、団参最後の目的地・姥子神社と俎岩へ向かいました。姥子神社の鳥居はなぜか黄色で、岩窟内に祠があり、岩窟自体がご神体といわれています。神社の前を通り、暗い岩礁の上をおそるおそる抜けると、眼前に俎岩が見えてきました。
住職の発音で参加者一同俎岩上の日蓮聖人立像に向かってお題目を三唱しました。唱題中、弘長元年五月一二日の夕暮、降りきしる五月雨の中を、みなぎり逆巻く怒濤にも高く響く読経の声、日蓮聖人のこの姿が目に浮かび、思わず目頭が熱くなってきました。 日蓮聖人「伊豆法難の地」の団参にふさわしい最後の場所でした。南無妙法蓮華経。