終戦70年の夏に
2015年9月2日
終戦70年の夏に
猛暑の8月、お檀家の娘さんのイエリン晴羅さんが祖父のジェリーさんと一緒にお参りにみえました。
きっかけは終戦70年のテレビの企画で、晴羅さんの母方の祖父、太郎さんのお墓にお参りするというものでした。
お参りのあと、孫の世代に平和な世界を切望するという趣旨内容で、戦争におけるジェリーさん自らの過去や戦争に対する思いを語るという対談形式。ジェリーさんは、太郎さんとの関わりあいや、実際に日本を訪れての日本人に対する思いがどんな風に変わったか等を晴羅さんに伝えていました。
戦時中P-51のパイロットとして日本上空に飛来していたジェリーさんは、番組の中で、「当時は、真珠湾で仲間を攻撃した日本人を敵としか考えていなかったが、戦後日本を訪れて、自分がしたことを考えるようになった」「憎しみはお互いを知ることで癒えていく。相手を理解し、怒りを愛に変えることが必要なんだ」と語り、「単純なことだけど、それが正しい」と晴羅さんが答えていたのが印象的でした。
「父、太郎は義父、ジェリーを大変尊敬していました。尊敬というより憧れにも近いような心情でしょうか。当時、飛行機乗りになりそびれた私の父からすれば、ジェリーはエリート中のエリートに映ったのでしょう。昔は敵同士であったけれど、子供たちの結婚を通して、肌の色は違っても同じ時代を駆け抜けてきた同士として、良い友達関係を築いてきた仲でした」(晴羅さんのお母様孝子さん)
ジェリーさんは大変お元気で91歳にはとても見えず(毎朝プールで30分歩いているそう)ユーモアたっぷりでジョークを言い、スマホを自在に扱うスーパーおじいさんでした。
私たちにも「国は違っても同じ人間同士です」と言ってお帰りになりました。
今回この様な機会を得たことをきっかけに、お参りの方に数人にもお話を聞いてみました。穏やかな普通のお年寄りに見える方でも、水を向けると大変だった体験を次々に話して下さることに驚きました。
終戦から70年経った今、戦争を体験した世代がご高齢になっています。直接お話を聞く機会もどんどん減っていきます。夏だけ省みることではありませんから、資料館、書籍、映画なども通じて娘たちにも伝えていこうと思いました。