IN 龍の国ブータン
2011年5月16日
Bhutan report 1
先日、仏教研修のため、ブータンに行ってきました。
なぜブータンかというと、本納寺で何度か「科学実験教室」の講師をつとめて下さった小森氏が、JICA(国際協力機構)の調査員として首都ティンプーに赴任しており、以前から「是非来た方が良い」と誘ってくれていたからです。
ここで、まずはブータンの基礎知識を・・・。
ヒマラヤ山脈東側にあり、中国とインドに挟まれた山岳地帯に位置する国。高いところで標高は7000メートルで、街は2500から3000メートルくらい。富士山よりも高い標高3800メートルにも生活道路が走る。面積は九州よりやや小さく、人口は九州全域の5%に当たる約70万人。労働者の約7割が農業を営み生活している。チベットから影響をうけた敬虔な仏教国である。2006年までは鎖国状態の政策であった。
この国の国王は、仏教文化の伝統的なライフスタイルが国民の幸せにつながるとして、「国民総生産」よりも「国民総幸福」が大切と訴えている。
有名な話だが、国民の生活は、国連による貧困レベルを下回っているにもかかわらず、アンケート回答者の96%の人が「幸福だ」と回答したそうだ。 (私の会ったブータンの人の100%がそんなはずはないと言っていたが、、、)
羽田空港からバンコク経由で12時間かかって、ブータンの窓口パロ空港に到着。いよいよ「最後の秘境で昔の日本に出会える国」に上陸である。
パロに着いてゾンと呼ばれる城跡を見学。その大きさと美しさに圧倒される。このゾンは、半分は僧院、半分は役所として使われていて、入り口には六道(地獄から天上界)までが描かれた美しい色彩の巨大な壁画があった。輪廻転生を強く信仰しているようである。
ゾンを訪れたあとは町のレストランではじめてのランチ。どんなものが出てくるかドキドキしながら待つ。運ばれてきたのは赤米と、野菜の炒め物で、全体的に黒っぽい料理。食べてみると、ブータン料理は辛いと聞いていたが、これはそれほどでもなかった。また、よく見ると肉が入っている。
ブータンの人は殺生をしないが肉を食す。昔から山岳地帯では干し肉を保存食としていた。肉はほとんどインドから輸入しているのだ。つまり自分で手を下さければいいという解釈らしい。町なかで乱暴に枝を落とされた木を見かけた。斧とは鉈によって枝をぎざぎざに叩き切られたような有り様である。小森氏によると、薪にするため木を切るのだが、ギリギリのところまでは切るが最後の一打ちはせずに放置するのだそうだ。風や雨などの自然の力によって落ちるのを待つのである。こうすることで、殺生したことにはならないのだそう。
こんなエピソードも聞いた。ある時みずたまりの前に座っている人がいたので小森氏が覗いてみると、彼は溺れている何百匹という虫(日本の蚊ぐらいの小虫)を助け出そうと箸で一匹一匹外に出していたそうである。 このように、穏やかに穏やかに暮らしている人々が多い国なのである。
「この世の生き物は生まれ変わった誰かかもしれない」ので、殺生はしない。助け合いの精神が生きているので、ホームレスもいないという。
実際私達が出会ったブータンの人はみんな純粋で素朴でやさしい人ばかりであった。「つづく」